チタンの指輪について

彫金の指輪 純チタンについて:当工房が使用する「Titanium995」は、99.5%がチタニウムという高純度の素材です。
鍛造の指輪 鍛造&彫金技法で造られる指輪 鍛造:一口に“指輪”と言っても色々な造り方がありそれぞれに長所と短所があります
一般的に、貴金属は鋳造(ちゅうぞう)、強じんなチタンは旋盤などで加工されます。当工房は、金槌で沢山叩いて指輪を造る=鍛造(たんぞう)です。
 金槌で指輪を満遍なく叩くことにより鍛えられ金属がギュッと詰まった“薄くても変形に強いチタンの指輪”となります。
彫金の指輪 彫金技法:チタニウムという素材は強靭な為、金槌で叩いたりヤスリで削ったりリューターで彫り込んだりという手作業は大変なので敬遠されがちです。
当工房では、銀やプラチナ等貴金属を直接削って(現在では、鋳造で造られる指輪が大半なので貴金属を直接削ってデザインする彫金作業はほとんど行われていません)造るのと同様に、強靭なチタンを鋼鉄ヤスリで削り、リューターの刃物で刻んで一つ一つ手作業で、オリジナルデザイン一点もののチタンリングを造っています。
チタンの指輪 チタンはハンドメイドの限界点:沢山のチタンの指輪を削ってきて解ったことがあります。それは、チタンの強靱さはハンドメイドの限界点にある素材だということ。
ヤスリの硬度よりも素材の硬度が低ければ削ることができます。例えば、ステンレスはダイヤモンドヤスリで削ることはできますが、デザインを施すことは硬いが故に非現実的です。チタンならば、鋼のヤスリで削って指輪にデザインを施すことができます。しかし、ヤスリを握る腕の筋の疲労が激しいという経験から、チタンを超える硬い素材をハンドメイドすることは非現実的だと思います。
本質的な魅力:チタンの指輪の魅力や使用価値は「金属アレルギーに対応・軽い・キズが付き難い・変形に強い」等というチタン素材の特徴的魅力だけではありません。
↑Photoをご覧いただければ豊かな表情も兼ね備えていることがお判りいただけるように、造り手の創作意欲次第でデザインの可能性をグーッと引き出せる楽しい素材なのです。ただ、皆さんもご存知のようにチタンは強靱な為ハンドメイドで細工することは敬遠され、一般に販売されているチタンの指輪のほとんどが機械加工に頼り極シンプルなデザインしかご覧いただけてないことと思います。当工房のチタンの指輪、その独特な表現力・デザイン性は特徴的であります。手に握った鋼鉄ヤスリでこれでもかというほど目一杯削り、リューターに取り付けた刃物をぐいぐい押し付けて沢山の刻みをまるで点描のように施すことにより豊かな表情を実現しています。

著作:Jeriff Cheng
千年ロマン:私は、これまでに沢山のチタンの指輪を造ってきました。太い指輪も細い指輪も全て含めると300本を超える作品の在庫を持っています。
指輪の場合、一つのデザインで一本造ってもまず売れることはありません。一つのデザイン系で20本程サイズ違いを造ることにより初めて一本買っていただけるようになります。その為、必然的に指輪の在庫は増えていくことになります。この先、体力的にも気力的にももうこれ以上造れないとなったときには、手元に残っている全てのチタンの指輪を地面に深く埋めようと考えています。チタンは安定性が高い素材なので、いつまでも変化なく其処にそのまま存在し得るのではないかと期待しつつ・・・。現代の考古学者がピラミッドから発掘される副葬品から古代エジプト人達の暮らしぶりをあれやこれやと想像する・・・。1000年後、2000年後・・・いつの日か地面から掘り出されたならば、その時代の人達は一体どのようにチタンの指輪を解釈するのだろう。あーでもないこーでもないと装飾品の指輪とは全くかけ離れた使い方とされるのかもしれない・・・。そんな楽しいことを思い浮かべながら今日も又一本在庫を増やしています。


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